2015年04月29日

『 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 』

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『 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 』公式サイト

鑑賞日:2015年4月18日(2D字幕)

先々週、本年度のアカデミー賞作品「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を見てきたわけですが、これっていわゆるブラックコメディというジャンルなのか正直所々うすら寒くて怖かったです。

若い頃ヒーロー映画で成功してその後当り役なしってハリウッドセレブは実際に沢山いそうだけど、主人公はそんな落ち目の中年役者が再起をかけてニューヨークのブロードウェイで一発演技派っぷりをアピールしてやろうじゃないの、と器に見合わない企画をアノテコノテで何とかしようとして、

それはそれは自ら己の地獄の釜をひっくり返したような様を見ることになる、そんなお話であります。別人格バードマンの囁きといい、随所に出てくる現象はマイケル・キートン演ずる主人公が統合失調症なのを表してるんだろうなあ。

しかしね、元アメコミヒーローの落ち目役者の役にマイケル・キートン。舞台役者として才能も評価も高いけど人としてロクデナシ過ぎるエドワード・ノートン。他もナオミ・ワッツやエマ・ストーン。なんかね、これだけ見てもウッてなるよね、喉が。

エドワード・ノートンが「インクレディブル・ハルク」を降りることになった経緯はよく知らないんだけど、自ら降りたのか「追放」なのか……。ともあれそうなるとこのキャスティングがホントにウッ!であります。

しかし大分歳を召されてそれなりにブヨッてはきたけど顔のせいかまだ精悍さのあるマイケル・キートンより寧ろ一見細身で服着てれば雰囲気あるのにビキニパンツはくとうっは!な感じのエドワード・ノートンの肢体がね……いや、これこの映画のためのノートン仕様なんだろうな。

話題になってたカメラワークはまるで全編ワンショットで撮っているような長回しで(あ、でも長回しがすごい映画というと「エルミタージュ幻想」もすごいよ)アングルも非常に人の顔に近く、誰かの肩越しに狭い通路を歩きながらの光景を見ているような映像が続きます。

BGMがときどき壮大なクラシック音楽とかも入ってくるけど、基本登場人物の心象風景を表しているのは激しく鬱蒼としたドラムソロで、むちゃくちゃ孤独や怒り、焦りといった感情を煽ってきます。格好良いけど刺激的過ぎて逆に落ち着かなかった…。

あと登場人物たちの会話の中に沢山の著名俳優の名が登場するんですが、各人がいわゆる末端セレブからどういう風に思われてるのかとか見えるヒデエ台詞がたくさんあって笑いました。(笑)あと何となくそうなのかなーとは思ってたけど、映画やテレビ業界と演劇界ってこんなに深くて暗い溝があったのね。

舞台は徹底してニューヨークのブロードウェイ。実在するセント・ジェームスシアターで主人公たちが公演するという設定。向かいにはファントムをロングランしてるマジェスティックシアター。あー、懐かしい。ブロードウェイ!タイムズスクウエア!ニューヨークに帰りたい!!(泣)

「アメイジング・スパイダーマン」見てないからよく知らなかったんだけど、娘役のエマ・ストーンがとても可愛らしいカエル顔で、目がでっかくてとんでもなく澄んだ青緑色のビー玉みたいで綺麗でした。

彼女の役は薬物中毒のリハビリ中で仕方なしに俳優の父親の付き人をやってる娘の役だったけど、夢から醒めない夢を見てるような大人たちに比べると非常に現実的な唯一のキャラクターなんだよね。しかしそれでも彼女の現実の多くがSNSの世界なのにもこう…空虚感を感じるんだ。

マイケル・キートンな主人公にせよ、共演者のロクデナシ俳優なノートンにせよ、苦労人女優のナオミ・ワッツにせよ、この作品に登場する人物の渇望って皆愛されたいが故に世間の人に記憶されたい、認められたい、忘れられたくない、なんだよねえ…。

あんなに不遇続きでも人間って愛されることに拘りたいものなのかな…。なんかね、この作品で七転八倒するキャラを見てて自分は愛されることなんか諦めてしまえばいいのにと何度も思ってしまったよ。世間が狡猾で辛辣でいかにご都合主義であるかを思い知らされても人ってそういうもんなのかねえ…。

最後のシーンはどう解釈したもんだろうか。エマ・ストーンは何故下を見てから上を望みあの表情を浮かべたのか。あー、何か首がウッとなる。そうそう、バードマンスーツは実際にマイケル・キートンが着用したみたいね。あの口元の露出具合ね、マイケル・キートンを象徴してるよね。

しかし友人も言ってたけど、日本人はバードマンと言えばパーマンのあのキャラを思い浮かべ、鳥面被ったヒーローというと自分はこいつを思い浮かべてしまうのでヤヴァイ。
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今見るとなんてもっさりした殺陣だ。


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目のやり場に困るエドワード・ノートンのビキニパンツ…。

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やだ……マイケル・キートン、マジかっこういいんですけれど……。

posted by 益子繭己 at 01:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
相変わらずおじさま好きだね〜!

映画とは関係ないけれど、君くらいとしか共有出来ない感性ジャンルの一つなのでこちらでコメントさせて頂きます。
Rebel Heart よいと思った。
随分まろやか。
彼女の歌に深い慈愛感じる様になったのは女王の精神変化の反映からなのだろうけど自分の側も経年の証なのかね。
Ghosttown が好きだなぁ。
Posted by Gonta at 2015年05月17日 22:31
> to Gonta

ごめん、ごめん!コメント戴いてたのに気づかず一月過ぎてしまってた…!
すまん……!!
はい、相変わらずおじさま好きです。品の良いおじさまも、ワイルドなおじさまも好きです。映画でも漫画でもアニメでも、オヤジが格好いいかどうかに評価基準の大半があるような気もします。
Rebel Heartって何かと思ったらマドンナの新譜か!最近洋楽情報にすっかり疎くなっててヤヴァイよ、もう。大物過ぎてチェック入れてませんでしたが、先程iTune Storeでちょっとチェキってきたところ、なかなか良い感じですね。御年もういくつだっけ?未だサウンドに古臭さがないって、すごいねえ。
Posted by 益子繭己 at 2015年06月18日 00:43
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